計画と創造性の間

最近、ずっと計画ってなんだろうってことを考えてる。

もっと正確にいうならば、想定する未来を実現するために計画っていうのはどういう役割を果たすのだろうということを考えているということなのだけど。

そんなことを考えていたら、FBでこんな記事が流れてた。

ちなみにこれが記事で引用されるMITメディアラボの・伊藤襄一氏のTEDトーク。伊藤襄一さんのTEDトーク動画とその書き起こしはこちら。

 

http://logmi.jp/17817

要は革新が重要な時代で、計画は革新を阻害するし、もっと目の前を見て迅速に反応していこうというようなお話だ。

しかしながら、計画とはなんなのかということがよくわからないのでちょっと整理して考えたい。

まず、ここでの論点っていうのは大きく3つある。

  1. 計画は決めたことにとらわれるので変化に対応できない(計画とは何か?)。
  2. テクノロジーの進化によりリーンスタートが可能となったので計画の必要性はない(計画の必要性とは?)。
  3. 計画よりも「今」必要な創造性の発揮に注力しよう(計画と創造性の関係は?)。

今回はその中でも1,2についてフォーカスしてみる。

そもそも計画が不要というのは本当だろうか。

まず前提として組織の規模とか、組織活動の質、あるいは計画の利用方法によって異なるというのが穏当な解釈であろう。

計画の立て方、使い方次第では経営資源の無駄になっているということは大いにあると思う。実際マネジメント・コントロールの研究はすでにツールベースではなく利用方法による機能変化に焦点を当てて議論されている。

プランニングの重要な役割は意思決定をわかる形で組織に展開することだとミンツバーグは言った。それはつまり計画は意思決定ではないということである。そうすると、意思決定が常にいろんな場所で可能であるならば計画は要らないということも成り立つかもしれない。これは計画とは何かという1の問題だ。

もっというなら常に全員でコミュニケーションが取れるぐらいの小規模組織ならそもそも計画なんて必要ないのだ。

しかしながらある程度規模の大きな実際の事業組織では現場レベルであらゆるレベルの意思決定が可能かと言われるとそんなことはない。金、人、物を問題に直面している人だけで動かしていくことはできない。

そうすると、そこを補助する何らかの仕組みが必要になる。例えば計画はそこを補助する役割もある。組織全体の余裕がどこにあるかが計画を通して見えるから、変更が可能であるかどうか判断できるようになる。

もっとも、スーパーマネジャーの頭の中にすべて入っていて、コミュニケーションも円滑にいき、スタッフが組織のいく末を決める最適な意思決定をできるのであれば目に見える形の計画は不要だろう。

ここまでで重要なのは、「目に見える」計画と意思決定は違うということ、そしてそもそも計画の役割は意思決定そのものではないということである。

もう一点抜けていると感じるのは世の中の人的資源はスーパーマンだけではないということである。人の成長とそのための投資を外部化しているので、そこをどう解決するのかが重要になってくる。そこでもやはり計画は補助線を引いてくれる。

ということを考えながら、より穏当にいうならば、計画の役割は皆がイメージするようなもの(立案したら守られるべきもの)から変わったということかもしれない。

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